【意匠審決紹介】使用状態参考図を事後的に追加して、意匠が具体的であると認められた事例
愛知在住の 弁理士やままるニコニコです。
意匠出願する場合には登録を受けようとする意匠を願書及び図面にて具体的に特定する必要があります。
基本的には6面図で意匠を特定しますが、6面図だけでは意匠を具体的に特定できない場合には、断面図、拡大図、参考図などの図も添付する必要があります。
意匠を具体的に特定するためにはできるだけ多くの図面を添付したほうがよいですが、図面が多くなるとその分費用が高くなるので、必要以上に図面を添付することは避けたいです。
上記前置きに関連して、意匠が具体的か否かの判断に関する審決を紹介します。
【審判番号】不服2016-11145
意願2015- 19749「包装用容器」拒絶査定不服審判事件
【出願当初の内容】
意匠に係る物品を「包装用容器」として、下記正面図を含む複数の図面が添付される。

【原査定の拒絶理由の内容】
・意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない。
・具体的には、蓋部を取り外した状態の図が表されておらず、意匠に係る物品の使用の状態が不明であり、一の意匠を特定できない。
【拒絶査定】
出願人は、上記拒絶理由に対して意見書を提出して反論したが、出願人の主張は認められず、拒絶査定が下された。
その理由は、蓋部と容器本体との境界が不明りょうであるため本願意匠のどこからどこまでの部分が蓋として分離するのか明らかではなく,また,蓋部を取り外した際に現れるであろう口部の形状が明らかではない。意匠に係る物品の使用の状態は依然として不明であり,一の意匠を特定することができない、というものである。
【補正】
出願人は、拒絶査定不服審判を請求するとともに、手続補正書により、下記「蓋を外した状態の参考正面図」及び「蓋を外した状態の参考斜視図」を追加した。

【審判官の判断】
本願意匠は,一の意匠を特定することができるものであるので,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当すると判断しました。以下、審判官の判断の抜粋です。
審判請求日と同日に提出した手続補正書の「蓋を外した状態の参考正面図」及び「蓋を外した状態の参考斜視図」によって,蓋部と容器本体部との境界が明確となり,また,蓋部を取り外した際に現れる容器本体部の上端部にある注ぎ口の形状も明確となることで,その使用方法等が明らかになったものである。
したがって,包装用容器分野における通常の知識に基づいて判断した場合,本願意匠は,一の意匠を特定することができるものであるので,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するものである。
なお,平成28年7月25日に提出された手続補正書による「蓋を外した状態の参考正面図」及び「蓋を外した状態の参考斜視図」を追加する補正は,出願当初の願書の記載及び添付図面の要旨を変更するものではない。
【考察】
原審では下記の理由で拒絶査定となり、審判では、補正により追加した参考正面図及び参考斜視図により、下記理由を解消したので、原拒絶査定が取り消されました。
①蓋部と容器本体との境界が不明りょうであるため本願意匠のどこからどこまでの部分が蓋として分離するのか明らかではない。
②蓋部を取り外した際に現れるであろう口部の形状が明らかではない。
個人的には、①の理由は納得できますが、②については少し厳しい判断なのではと感じました。すなわち、本願意匠は包装用容器の外観の意匠であるので、内部の口部の形状まで明らかにする必要はないのではと思いました。
また、意匠審査基準には、願書に添付した図面等についてした補正が、出願当初不明であった意匠の要旨を明確なものとするものと認められる場合 には、要旨変更補正と判断すると記載されています。
参考正面図及び参考斜視図を追加する補正が要旨変更補正に該当しないと判断されたことに疑問を感じました。
本事例から以下のことが言えます。
・事後的に使用状態参考図を追加できる場合がある。
【意匠審決紹介】参考図に基づいて追加した部分拡大図により意匠が具体的に表されていると判断された事例
愛知県在住の弁理士やままるニコニコです。
今回は意匠の審決例を紹介します。
【審判番号】不服2017−15640
意願2016− 15002「排水口用ゴミ受け」拒絶査定不服審判事件
【出願当初の内容】
・本願は、意匠に係る物品が「排水口用ゴミ受け」であり、当初の添付図面には、意匠の形態を特定するのに必要な一組の図面及びその他必要な図としては、パンチング孔が施されたゴミ受けの図面が含まれていなかった(下記斜視図参照)。
・パンチング孔が施された写真(下記参考平面図1参照)が参考図として添付されていた。
・パンチング孔が施された範囲を赤色で示した参考図(下記参考底面参照)が添付されており、願書の「意匠の説明」には、「パンチング孔が参考底面図および参考斜視図に示す赤色部分に設けられる」旨,説明していた。



【原査定の拒絶理由の内容】
・意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない。
・具体的には、願書の記載及び図面によっては、意匠に排水機能がなく、排水口用ゴミ受けとしての用を成さないので、意匠が具体的ではない。
【補正】
上記拒絶理由通知に対して、下記部分拡大図を補正により追加するとともに、上記参考底面図に、部分拡大図の範囲(C-C’)を追加した。

【拒絶査定】
・パンチング孔の態様が具体的に記載されているのは参考図であり、参考図のみに記載されたパンチング孔の具体的態様は意匠を構成する要素として認められない。
・補正で追加した部分拡大図は参考図を拡大したものであり、一組の図面及びその他必要な図と認められない。
【審判の判断】
本願意匠は、願書の記載及び願書に添付された図面の記載によって,意匠が具体的に表されていると判断しました。以下、審判官の判断の抜粋です。
・本願意匠は,意匠に係る物品を「排水口用ゴミ受け」とし,願書の【意匠の説明】によれば,「『参考底面図』および『参考斜視図』における赤色着色部分は,『参考平面図1』および『参考斜視図1』に示すように,水切りのための細かなパンチング孔が設けられている。」との記載があり,添付図面と併せて総合的に判断すれば,ボール部にパンチング孔を有するものと認められ,パンチング孔の態様については,平成29年4月14日に意見書と供に提出された手続補正書によるC−C'部分拡大図に表されており,本願意匠が具体的でないということはできない。また,この補正は,拒絶理由通知を受けて,出願当初に不明瞭であった点について釈明したものであって本願意匠の要旨を変更するものではない。
・なお,原審の拒絶査定では,パンチング孔の態様が具体的に記載されているのは,参考図であって,参考図にのみ記載されたパンチング孔の具体的態様はこの意匠を構成する要素として認められず,部分拡大図についても参考図を拡大したものであるため,必要な図と認められないとしたが,本願意匠について,願書の【意匠の説明】の記載を含めて判断した場合,参考図によって意匠が多義的に解釈されるとまでいうことはできず,また,部分拡大図については,意匠を十分表現できないときに加える図面であることから,指示線が参考図に基づくものであることのみをもって,直ちにこれを退ける根拠とすることはできず,特許庁発行の「意匠登録出願の願書及び願書の記載の手引き」に,組合せ断面図の記載例として,参考図に指示線を記入したものが見られることからも,適当ということはできない。そうすると,本願意匠は,C−C'部分拡大図を含めて判断されるべきものであるから,前記のとおり願書の記載及び願書に添付した図面から一の意匠を特定できるものである。
【考察】
意匠審査基準には、参考図について以下のように記載されています。
『願書に添付した図面等において、「参考図」として表された図における、一組の図面及びその他必要な図に表されたものと異なる形状、模様又は色彩は出願の意匠の形状等に係る認定において考慮しない。』
原審では、審査基準の記載に則って、パンチング孔は参考図のみに表されているため、意匠の形態の認定においてはパンチング孔は無いものとして判断したと思われます。
これに対して、審判では、願書の「意匠の説明」の記載(パンチング孔が設けられている旨の記載)及び添付図面を考慮して、意匠の形態の認定においてパンチング孔を有すると判断するとともに、補正により追加した部分拡大図により、パンチング孔の具体的態様が表されていると判断しています。
また、「意匠の説明」でパンチング孔が設けられることが記載され、さらに、パンチング孔を有したゴミ受けの写真が添付されていたために、パンチング孔の部分拡大図の追加が認められた(要旨変更には該当しないと判断された)と思われます。
本事例から以下のことが言えます。
・パンチング孔等の微細な形状であっても、一組の図面及びその他必要な図で具体的に表す必要がある。
・パンチング孔等の微細な形状が表された6面図を準備できない場合には、微細な形状が表されていない6面図で代用するとともに、「意匠の説明」において、微細な形状が施された範囲及び微細な形状について言及し、微細な形状の部分拡大図を添付すれば、意匠が具体的であると認定され得る。
・参考図に基づいて、意匠の形態を特定するのにを必要な図(部分拡大図等)を補正により追加できる可能性がある。
特許図面枚数の削減と、日本・外国出願用明細書の共通化
愛知県在住の弁理士やままるニコニコです。
今回は、特許図面枚数を削減する方法と、それに関連して日本出願及び外国出願用の明細書の共通化について書きます。
弊所を含む多くの特許事務所では、原稿及び図面の枚数に応じて出願費用が変動します。
近年では、お客様の費用意識の高まりを実感しており、その一つに、お客様から、できるだけ図面の枚数を減らしてほしいとの要望を受けることがあります。
日本の特許実務では、異なる図番が付された複数の図を横に配置することができず、縦に配置しなければいけません(下図参照)。この場合には、図面1枚当たりに記載できる図の数が少なくなってしまいます(下図の場合は、図面1枚に2図が示されている)。

そこで、図面枚数をできるだけ少なくする場合には、関連性のある複数の図については、同一の図番にしつつ、横に配置しています(下図参照)。この場合、各図を区別するために、1図番内においてアルファベットで各図を区別します。このようにすることで、図面1枚当たりに記載できる図数を増やすことができるので、図面枚数を減らすことができます。下図の場合では、図1の下にスペースを確保できるので、図2を入れることができます。

一方、日本出願の後に外国出願をする場合には、国(特に米国)によっては、1図番中に複数図を含めることができません。また、国によっては、複数の図を横に配置できます。
そこで、上記の図面を外国出願用にする場合には、Fig.1A、Fig.1Bと複数の図番に分けるとともに、これらを横に配置します(下図参照)。

また、外国出願する場合には、日本語の明細書を外国語に翻訳する必要があります。その翻訳に先立って、日本語の明細書を外国出願用に修正する必要があります。その修正作業を少なくために、日本出願用の明細書と外国出願用の明細書をできるだけ共通にしたほうが良いといえます。
明細書の共通化のために、1図番中にアルファベットで区分けして複数図を含ませる場合には、日本出願の段階から、明細書では図1A、図1Bと記載しています。
これによって、明細書中の図番の記載を、日本出願、外国出願で共通化できます。
まとめ
・図面枚数を少なくする場合には、1図番中にアルファベットで区分けして複数図を含ませるとともに、それら複数図を横に配置する。
・日本出願と外国出願との明細書の共通化を図るべく、日本出願の段階から明細書では図1A、図1Bというように記載する。
特許出願用のword文書を出願時のページ様式(40文字×50行)に変換するマクロの作成
愛知県在住の弁理士やままるニコニコです。
久しぶりのブログ更新になってしまいましたが、今回は特許出願費用の見積もりについて書きます。
特許事務所に特許出願を依頼する場合には、一般的には、出願原稿及び図面の枚数に応じて(すなわち発明の内容に応じて)出願費用が変わってきます。弊所でも枚数に応じた費用を設定しています。
近年では、お客様から、できるだけ費用を抑えるように原稿を作成して欲しいとの要望をお受けすることがあり、お客様のより一層の費用意識の高まりを実感しています。
最近では、原稿を作成した後、お客様に原稿の確認をお願いしている段階で、現段階の原稿で仮に出願した場合の費用を算出することがあります。
費用見積もりを算出するためには、原稿のページを、電子出願した場合のページ様式に変換したうえで、原稿枚数を求める必要があります。原稿枚数の導出は以下の①、②の方法があります。
①wordで作成した原稿をhtmlに変換して、これを電子出願ソフトに読み込ませる。
②原稿のページ設定を、word上で電子出願した場合のページ様式(40文字×50行)に変換する。
これまで、①の方法でページ枚数を求めていましたが、この場合には、図面データを所定の形式(bitmap又はjpeg)に変換して、これを電子出願ソフトに読み込ませないと、エラーが出てしまいます。つまり、①の方法では、図面データも出願ソフトに読み込ませる必要があり、その分手間がかかりました。
そこで、先日は、②の方法で原稿枚数の導出を試みました。当初は、wordのページ設定を、40文字×50行に設定するだけで良いと単純に考えていましたが、それだけでは上手くいきませんでした。
インターネットで調べると、1行当たりの文字数や1ページ当たりの行数は、フォントサイズ、ページの余白サイズ、ヘッダー及びフッター領域のサイズ、文字間隔、行間隔によって制限されることがあることが分かりました。結局、これらを調整して、ようやく40文字×50行のページに変換できました。
毎回この作業を行うのは負担が大きいので、既存の原稿ページを、40文字×50行のページに変換するマクロを作成しました。
単純な変換マクロではありますが、費用見積もりの算出時間の短縮に多少なりとも貢献できたので、個人的には満足しています。
「○○国際特許事務所」は国際特許を専門に扱う特許事務所?
愛知県在住の弁理士やままるニコニコです。
「○○国際特許事務所」について、国際特許を専門に取り扱う事務所なのか?と聞かれたことがあります。
「○○国際特許事務所」という名称の特許事務所が多いですが、多くの特許事務所は、国内出願は当然に対応可能であり、国内出願に加えて外国特許出願も対応可能であるという意味で「国際特許事務所」という名称をつけていると思います。
弊所では、外国特許出願よりも国内出願を多く扱っており、他の「国際特許事務所」でも国内出願の件数のほうが多いと思います。
なお、外国特許出願を対応可能であるとは、例えば以下の対応が可能であることを意味します。
・外国語(英語、中国語など)による出願書類(明細書、特許請求の範囲など)を準備することができる。
・世界各国(米国、中国など)に、提携している代理人(現地代理人)がおり、現地代理人を介して、外国特許庁に対する手続きを行うことができる。
一昔前では外国特許出願に対応可能であることはアピールポイントであったかもしれませんが、現在では、当然に外国出願も対応可能な特許事務所数が多いと思います。
そういう意味では、現在では、「国際特許しか取り扱わない」との誤解を招きかねない「国際特許事務所」をつけるメリットは小さいかもしれません。
特許性の判断と簡易特許調査
愛知県在住の弁理士やままるニコニコです。
発明相談を受けた場合には、特許出願を前提とした相談を除いて、相談いただいた発明について特許を取れそうか否かを判断しなければいけません。
特許を取れるか否かは、公知技術との関係で決まります。単純に見える発明であっても、似たような公知技術がなければ、特許を取得できます。複雑な発明でも、似たような公知技術があれば、特許取得が困難となります。
公知技術を詳細に把握していれば特許性の判断の正確度が上がるのですが、実際は、相談時に公知技術がよく分からないことがあります。
このような場合には以下の対応が考えられます。
①特許性の有無を判断をするために、特許調査を行う必要があることを説明する。
②直感的に特許が取れそうな発明(独自性が強い発明、特徴がいくつもある発明、構造に特徴がある発明であってCAD図面があるなど具体化が進んだ発明など)については、特許調査を経ずに特許出願を勧める。
③直感的に特許取得が困難と感じた場合には、そのことを説明し、又は無審査登録が可能な実用新案登録出願を勧める。
①の対応が多いですが、最近では、予め発明資料をご提供いただけた場合には、相談前に自主的に数時間程の無償の簡易特許調査を行うことが多いです。
事前に発明資料を得ること、及び簡易調査を行うことで以下のメリットがあります。
・相談前に発明に関連する知識を得ることができ、相談時に、発明の特徴に関する的確な質問をお客様に問うことができ、内容の濃い相談が可能となる。
・お客様の発明と公知技術との違いやお客様の発明の特徴が明確になり、特許出願が可能か否かを判断や特許出願の方向性の決定がしやすくなる。
・相談時間や相談回数を減らすことができ、出願に至るまでの時間を減らすことができる。
・客観的な公知技術文献を提示して特許性の判断を行うことで、お客様の納得が得られやすい。
なお、簡易特許調査は簡易的に行うものなので、「この発明は特許を取得できる可能性がある」、又は「この発明は拒絶になる可能性が高い」ことは言える一方で、「この発明は特許取得できる可能性が高い」とまでは言い切れない面があります。
ただし、進歩性が否定される可能性があると思いつつ特許出願した場合であっても、特許になっている事例はいくつもあるので、「この発明は特許を取得できる可能性がある」、又は「この発明は拒絶になる可能性が高い」ことが分かるだけでも、簡易調査を実施するメリットがあると考えています。
【判例】AI発明は特許を取得できない!?
愛知県在住の弁理士やままるニコニコです。
先日、AIにより生み出された発明に係る出願について、特許法に規定する「発明者」は自然人に限られるとの判断を示した判決がありました。この事件の概要は以下の通りです。
1.事件について
(1)事件
令和5年(行ウ)第5001号 出願却下処分取消請求事件
東京地方裁判所
原告:A
被告:国(特許庁長官)
(2)概要
原告は、特願2020‐543051に係る国際出願(【発明の名称】 フードコンテナ並びに注意を喚起し誘引する装置及び方法)をした上、日本への国内移行手続として国内書面を提出した。国内書面における発明者の氏名として、「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」と記載した。
特許庁は、原告に対し、発明者の氏名として自然人の氏名を記載するように補正を命じたが、原告は補正をしなかったため、本件出願を却下した(本件処分)。
本件は、原告が、被告に対し、特許法にいう「発明」はAI発明を含むものであり、AI発明に係る出願では発明者の氏名は必要的記載事項ではないから、本件処分は違法である旨主張して、本件処分の取消しを求めた。
(3)裁判所の判断
裁判所は、特許法に規定する「発明者」は自然人に限られるものと解すると判断して、原告の請求を棄却しました。
以下、裁判所の判断を抜粋します。
『発明とは、自然人により生み出されるものと規定していると解するのが相当である。』
『特許法184条の5第1項2号の規定にかかわらず、原告が発明者として「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」と記載して、発明者の氏名を記載しなかったことにつき、原処分庁が同条の5第2項3号に基づき補正を命じた上、同条の5第3項の規定に基づき本件処分をしたことは、適法であると認めるのが相当である。』
『特許法66条は、特許権は設定の登録により発生する旨規定しているところ、同法29条1項は、発明をした者は、その発明について特許を受けることができる旨規定している。そうすると、AIは、法人格を有するものではないから、上記にいう「発明をした者」は、特許を受ける権利 の帰属主体にはなり得ないAIではなく、自然人をいうものと解するのが相当である。』
『特許法に規定する「発明者」は、自然人に限られるものと解するのが相当である。』
2.所感
裁判所の判断によれば、特許法に規定する「発明者」は自然人に限られ、書面には発明者の氏名を記載する必要があることから、現状では、AIがした発明について特許を取得できないことになります。
ただし、判決書の最後には、「発明者」が自然人に限られる旨の判断について、『まずは我が国で立法論としてAI発明に関する検討を行って可及的速やかにその結論を得ることが、AI発明に関する産業政策上の重要性に鑑み、特に期待されているものである』と記載されているように、将来的にはAI発明について特許取得が可能になるかもしれません。
なお、本件発明の内容は国際公開第2020/079499号公報に記載されています。全く異なる2つの発明(「 フードコンテナ」と「注意を喚起し誘引する装置及び方法」)が記載されています。図面も含まれており、予想よりもしっかりとした内容であると感じました。